一生残る大切な記録


「先生、卒業までのカウントダウンを黒板に書いてもいいですか?」

 

ある日、生徒からそう提案されました。自分の学生時代を思い出し、懐かしい気持ちでOKを出したのですが……。

翌朝、黒板を見て驚きました。予想を遥かに超える気合いの入った「作品」が出来上がっていたのです。

 

 

日に日に増えていくイラストに少し動揺しつつも、その前で楽しそうに写真を撮る生徒たちの姿を見ると、ほほえましく思います。

 

 

さて、最後の定期考査が終わり、いよいよ卒業に向けた「大仕事」が始まりました。

卒業文集づくりです。プロフィールやランキング、クラスあるある……。

全員で協力して思い出を形にしていく作業。

 

 

しかし、来週が卒業式だというのに、作業は一向に進んでいません。

焦る担任をよそに、どこか余裕しゃくしゃくの生徒たち。

その「自信」の正体は、ある生徒のニヤニヤした一言で判明しました。

「先生、テストも終わったし、これからの授業って何するんですか?(笑)」

周りの生徒も期待の眼差しを向けてきます。

「あわよくば文集作りの時間に……」という魂胆が見え見えです。

しかし、そこは心を鬼にして返します。

「もちろん、高校へ向けての授業に決まっとるやろ!」

「最後ぐらいいいじゃないですか〜!」とブーブー言う生徒たち。

そんな軽口を叩き合えるようになったことにも、この3年間の成長と絆を感じずにはいられません。

 

 

卒業アルバムと違い、文集は生徒が主役となって作る「手作りの記憶」です。

「あの時はこうだった」「あんなこともあった」教室に溢れる笑い声や、少しの寂しさ。

そのすべてが詰まった一冊は、一生の宝物になるはずです。

生徒たちの楽しそうな背中を見守りながら、私も少しずつ、卒業式へ向けて心の準備を始めています。