本校2年生の洲加本君が制作したプログラミング作品「じゃんけん鬼 オンライン」が、U-22プログラミング・コンテスト2022にて選出されました。
去る11月27日(日)、東京の秋葉原コンベンションホールで開催された最終審査会でプレゼンテーションを披露し、表彰を受けました。
なんとエントリー総数328作品中の32作品に選ばれた上、さらに、全国からエントリーした31名の中学生の中で、洲加本君が唯一最終審査会へ選出されました。
「U-22プログラミング・コンテスト」とは、経済産業省主催の、優れたIT人材の発掘・育成を目的に1980年から続いている歴史ある選考会です。
ゲームプログラムの開発コンセプトは、『子供からお年寄りまで遊べるゲーム』。
祖父や弟、妹と一緒に遊べるゲームが欲しいという日頃の思いが制作の動機だそうです。
ゲーム内容は、6人対戦で、迷路の中で動き回りながらの鬼ごっこ。
各プレーヤーにジャンケンの「グー」「チョキ」「パー」の役割が与えられ、ジャンケンに勝った相手を捕まえるか、負けた相手から逃げ続けるかの、バトルロワイヤル(勝ち残り)方式です。
一定時間でジャンケンの役が変わって立場が逆転するというアイデアが、審査員から評価されてのノミネートとなりました。
教育現場向けのScratchというプログラムを用いての制作ですが、簡素で扱いやすい分、高度な処理を行わせるには、さまざまな命令を組み合わせる工夫が必要です。
人間も同じですが、命令が多くなると間違いや齟齬(そご)が起こるものです。それを、プログラミング用語では“バグ”と言います。
しかし、コンピュータは人間と違い、行間を読んで曖昧に理解することなど決してしてくれません。
間違いは間違いとして、無慈悲に“エラー”となって立ちはだかります。
洲加本君も、ゲーム内の迷路やプレーヤーの動作等でバグが発生し、幾千幾万もの文字の中からバグを見つけ出し、修正していく作業に大変苦労したそうです。
さらにオンライン上での対戦で問題になるのが通信処理です。
TV局のスタジオと現地リポーターの間で会話のズレが生じるように、大量の情報が複数の端末間で行き来する際には大きな時間のズレと動作の鈍化がつきものです。
ゲーム中にプレーヤー同士の動作タイミングにズレが生じないようにするには、送受信する情報を減らせば良いのですが、その分、各プレーヤーのコンピュータに大きな負担がかかって動作が重くなるという大きな試練にも襲われました。
コンピュータに大きな負荷をかける処理を要求するのは、当初の目的である「子供からお年寄りまで一緒に遊べるゲームを作りたい」という点から大きく外れます。
プログラムを簡略化し、素早く伝達する工夫も要求され、度重なる試行の末にその課題も克服したそうです。
審査結果は、「経済産業省商務情報政策局長賞 アイデア賞」「スポンサー企業賞 サイボウズ賞」のダブル受賞という非常に素晴らしい結果となりました。
審査員の方々からは、本来ならば、より高度な処理が出来るプログラム言語やゲームに最適化されたプラットフォームで行う仕事を簡素なプログラムであるScratchでやり遂げた点、
動作検証やバグ修正、プログラムの高速処理・最適化等、実際にプログラミングの現場で起こりうる課題について真摯に取り組んだ点を評価されました。
大学教授やIT企業の専門家を前に物怖じせず堂々と質疑応答に答える様子は、普段の学校生活では見られない貴重な一面であると同時に、学校という枠組みにとらわれない活躍の場の重要性について改めて私たちも学ばせていただきました。
コンピュータがさまざまな場面で活躍する現代社会。
機械が人間に代わって多くの課題を解決するには、プログラミングは必要不可欠な技術です。
知らない人には無味乾燥な文字の羅列にしか見えないものでも、そこにはプログラマーの熱い情熱と多くの時間が注ぎ込まれています。
洲加本君は、「プログラミング技術を使って皆の生活が楽しくなれるようなものを作りたい」と話してくれました。
今後の彼の成長にますます期待できそうです!
【公式サイトの結果はこちらから】
【最終審査会の様子はこちらから】
ニコニコ生放送にてライブ中継され、現在でもアーカイブが視聴できますので、是非ご覧ください。