時が照らすもの


この季節になると、毎年そっと届く「薔薇便り」。
朝、出勤途中に足を止めて。あるいは、一日の仕事を終えて校門を出るときに。
美しく咲いたバラの姿に思わずシャッターを切る先生方の想いが、写真にのって記事担当者のもとへ届きます。

 

「満開なので送ります」「ブログにぜひ!今が見ごろです」と、スマートフォンに添えられて届くひと言と写真たちは、まるで季節の手紙のようです。

 

生物部が長崎市とコラボレーションして日々手入れをしている薔薇『長崎市まちぶらプロジェクト』。2015年から参加しているプロジェクトですが、毎年、年に2回花を咲かせます。

長崎観光地のど真ん中に位置する本校。国内観光客の方々のみならず、海外から観光客も足を止めて観賞している姿を目にします。観光の一助になればと、目を楽しませてくれる薔薇ロード。

今朝は、静かに降る慈雨をまとった薔薇を見ることができるでしょう。

足元に気をつけながら、ぜひ一輪のバラに目を向けてみてください。

※〝X〟長崎東山手洋館活用プロジェクト「Pavé(パヴェ)」でも紹介されています。

 

 

時が照らすもの

時間をどう使い、何を感じるか。

それは、誰にとっても等しく与えられながら、その重みは人によって異なります。



今日の話題は、“時”という言葉を通して見えてきた、2つのトピックスをご紹介します。

一つは、“時を守る”言葉で受賞した生徒の言葉と表情。もう一つの話題は、“今”の平和を考え、声を上げた高校生たちのつながりです。

 

「“時を守る”言葉の力 ― 受賞とその一言」

 

現高校2年生が高校1年次に、国語科の表現活動の一環として、近江神宮の関連団体である「時を守る会」が行っている標語募集に応募したところ、青少年賞標語(一点選考)に2年生の清水さん、入選標語(十点選考)に中川くんの標語が選定されました。入選者には6月10日(時の記念日)に近江神宮で行われます「漏刻祭」祭典の折に表彰式が行われるとのことです。

 

突然のインタビューにも応じてくれた二人。賞を獲得するとは思いもよらなかったと言います。

質問のひとつ、

「“時間”を一言で表現するとしたら、どんな言葉が浮かびますか?」に対して

 

清水さんは、

「Time is money…。時間をどう使うかはとても大切で、経験できることも時間の使い方次第で変わってくると思います。だから無駄遣いしないようにしたいかなと。」

中川くんは

「〝せっかちな人〟…過ぎてほしくないときほど、すぐ行ってしまうんですよね。楽しい時間、誰かと過ごすひととき、大事な準備の最中……“もう少しここにいてほしい”と願っても、時間は立ち止まってはくれません。」とユニークな表現で答えてくれました。



たしかに、まるで、こちらの気持ちをよそに、どんどん先に進んでしまう「せっかちな友人」のよう。

だからこそ、そのスピードに置いていかれないよう、自分の時間の使い方を見直したくなる、そんな思いが込められたひと言でした。

 

この吉報を知った溝上校長先生が標語を揮毫してくださり、各々が創った標語を手に写真1枚を撮ることに。


改めて、清水さん、中川くん、受賞おめでとうございます。

※「時を守る会」は、近江神宮の社会教育事業を担っている関連団体、天智聖徳文教財団の事業の一環として、6月10日の「時の記念日」を中心として、時を守る標語の募集、ポスター配布等の活動を通じて時間の大切さを見直す啓発選勤を行っている。※関連webページ➡https://oumijingu.org/pages/164/#page164 より

 

「今を伝える、声のバトン ―1年生が取材した“平和を願う時間”」

 

(海星中学校主催:暁星小学校歓迎行事の中で行われた平和学習の講演のシーン)

 

「平和教育の格差をなくしたい」そんな思いで活動しているのは、高校生1万人署名活動の実行委員長、瀬川陽さんです。

これは、放送部の1年生が地区大会で読んだアナウンス原稿の冒頭文です。

 

核兵器廃絶を願って署名を集める活動をするなかで、被爆者が高齢化して話を聞くことが難しくなっている現状を知ったことを伝えるなど、各方面で活動の幅を広げている瀬川さん。

(平和を願う千羽鶴を25年折り続けている五島市の藤原さんの折り鶴1万羽が実行委員に手渡された場面。鮮やかな千羽鶴は、平和大使が8月に訪問するスイス・ジュネーブの国連欧州本部に届けられました。)

 

大会が終わった翌日、取材のお礼に出向きました。

 

1分25秒の原稿に込められた文を読んだ3年の瀬川さんは、「このような形で自分の活動がアナウンス記事になっているのを読むと、嬉しいですね。平和の為にできること、自分の軸を持って考え続け発信することが大切です。」とアドバイスをくれました。

初大会参加となった放送部の松尾さんは、「すでに多くのメディアに取り上げられていた話題だったので、自分が取材した内容で先輩が行ってきた活動をうまく伝えられるか心配でした。でも、あらためてお話をすることができてホッとしました。また取材してアナウンスに挑戦したいです」と力強いコメントをしてくれました。

 

取材という“出会い”が生んだ交流。

先輩の真摯な言葉に耳を傾けながら、その思いをアナウンスで伝えようとした松尾さん。二人の間に交わされた言葉の中に、時を超えて届く願いが重なります。

 

声に出すことで伝わることがある。行動することで届く思いがある。

そのどちらも、今この時間をどう使うか、どう過ごすかという選択の先に生まれるものです。

生徒たちが交わした小さなやりとりの中に、未来への静かなまなざしが息づいていました。

 

※写真は薔薇チャレンジ、時を守る標語受賞、平和活動取材の様子