梅雨入り間近の6月初旬。人工芝グラウンド傍の紫陽花が薄いピンクに色づきはじめ、雨の気配が日々の空に少しずつ混じりはじめました。
今朝の気温は17℃。日中は26度まで上昇。高総体期間もお天気に恵まれ熱き闘いが繰り広げられました。選手の皆さん、お疲れ様です。広報室(月/金:配信)からInstagramとHPに結果とレポートが続々と紹介されていますので、ぜひ、ご覧ください。皆さんの雄姿が写真を通して伝わってきてエネルギーをもらうことができます。
6月、学びのタネは雨にも負けず
あっという間に6月へ。校内では2つの学びの時間が展開されました。
本日はご紹介する話題のひとつは、災害について「自分ごと」として考える防災講演会。もうひとつは、ICTを活用して「伝える力」を育む動画制作の授業。どちらも、生徒が互いに意見を交わし、協力し合いながら、主体的に学びを深める姿が見られた取り組みです。
【トピック①:防災講演会:想像力を高めて「もしも」に備える! 災害をイメージし、防災につながる行動へ】
この日は、日本防災士会の方々、そして地域活性化グループ「薬味YAKUMI」の皆さま、他災害ボランティアに関わっていらっしゃる10名のスタッフの方々を講師として迎え、防災講演会が行われました。体育館では、生徒・教職員が一緒に“クロスロードゲーム”に挑戦しました。
まずはじめに、自己紹介が行われました。長崎市、長与町、時津町、諫早市、南島原市、佐世保市と多方面からお越しいただきましたスタッフのみなさま、お忙しい中ご講義いただきありがとうございました。この場を借りて改めて感謝申し上げます。
つづいて名札の意味について田村様からお話がありました。
(お互いに知らない人同士であるためガムテープなどに名前を書いてコミュニケーションをとります)
(ユニークな語り口で始まった直木隆一郎講師による「防災士」の仕事についての説明)
特別なことではない「グラデーション防災」を普及するために、楽しくてためになりそうな啓発活動を地域・学校で行っている、講師の渋谷香奈先生。本講演のクロスロードゲームの進行を行っていただきました。
このゲームは、避難や支援の場面で起こり得る“もしも”の問いに対して、YES / NOカードを選び、その理由を全員で発表し合うというもの。「どちらかを必ず選ぶ」「他の人の意見を否定しない」というルールのもと、自分の価値観を見つめ、他者の考えにふれる体験となりました。
「あなたは〇〇です」という設定で質問が投げかけられました。
「クロスロード」とは、「岐路」、「分かれ道」のことです。災害に直面し対応することは、ジレンマを伴う重大な決断の連続です。ゲームをしながら防災対応を自らの問題として考えるとともに、自分とは異なる意見・価値観があることへの気づきも得られます。
「こんな場面に遭遇したら、どうしますか?それでは、YES / NOカードを挙げてください」渋谷先生の声が体育館に響き渡ります。
(教職員グループからも様々な意見が出ました)
「身近にあった災害から学び、しっかりとした備えができる人になってほしいというのが私たちの願いです。自分の身は自分で守る。どうか忘れないで下さい。」
班ごとのサポーターとして入られたボランティアの方々が締めくくられた言葉です。
「『災害』と言われると、どうしても大きすぎて掴めなくなってしまいますが、この講習会で本当に身近にあるものだと気づかされました。クロスロードゲーム体験を通して、きちんと自分たちのことだという気持ちで臨むことが大切だと思います。」と参加した生徒のコメント。
(生徒それぞれがYES / NOカードを手に理由を説明。発表者に耳を傾ける生徒たち)
最後に、旭芳郎様から総評をいただきました。
旭様は日本防災士会長崎支部・前支部長をお務めになり、現在は顧問として後進の育成にご尽力されています。
一人ひとりの考えに「正解・不正解」はなく、むしろその違いこそが、いざというときに役立つ多様性の強さであることを学んだ講演会となりました。
【トピック②:ICT講演会:伝えるって楽しい!iMovieで動画制作に挑戦】
翌日、タブレットを活用したICT学習「iMovieで動画制作にチャレンジ!」が行われました。
生徒たちは班に分かれ、Googleスライドでアイデアを共有・整理しながら、iMovieで約1分30秒の動画制作に取り組みました。
まず、ガイダンスとして体育館で使い方とルールの説明が行われました。
今回の活動テーマは、「私たちの学校の魅力を発見・発信すること」。
学校生活の中にある「面白さ」や「いいな」と思う瞬間を、自分たちの感性でとらえ、編集し、動画として伝えるその過程には、協働、創意工夫、ICTスキルの実践が詰まっていました。
「学校の魅力…トロフィーケースは必須ですね!」と撮影中。でも編集まであと・・・分。急がなきゃ。と生徒たち。撮影の時間、編集の時間あわせて約3時間半の活動。
ICT担当の森真琴先生いはく、「『ヘルプデスク』を設置しましたが、技術的な質問よりネタをどうするか、アイディアとなるものを尋ねてくる生徒が多く、そこに時間がかかると実感しました。編集はみんな早く、タブレットを使いこなしている気がしました」とコメント。
実際、作業場所となった教室を覗いてみると、すでに動画が出来上がっている班も見られました。
内容を通じて、生徒たちは「どんな表現が人に届くのか?」を真剣に考えながら、ひとつの作品を班ごとに完成させました。
「どんな始まりにする?」動画を見る人を飽きさせない工夫。動画作成のコツの一つとして重要なポイントを押さえていました。
生徒たちは「考える」「伝える」力をそれぞれの活動を通して深めました。
災害を自分事としてとらえ、他者の考えを受け入れる姿勢。そして、学校の魅力を自ら発見し、協力しながらかたちにしていく力。
学びは教室の外にも広がり、ひとりひとりの中にしっかりと根を張っていきます。
※写真は防災講演会、ICT講演会の様子