誰よりも選手を見つめる審判-県内初の高校生審判の挑戦


先週12日(金曜)に行われた3年生の活動の集大成「探究活動」。冒頭の写真は、テーマの一つである『高校野球200年構想』のプレゼンの様子です。「野球人口の減少に歯止めをかけたい」そんな強い思いから保育園児を対象に野球教室を開き、交流を通して得た成果報告を発表しました。子どもたちが笑顔ではしゃぎ回る姿がスライドで紹介され、探究に関わった生徒たちは、野球の楽しさや魅力をどう伝えるかを試行錯誤しながら、幼い“未来の選手たち”と真正面から向き合いました。

 

この活動は2018年度から全国的に始まった「高校野球200年構想」の理念に共鳴した探究発表のひとつです。全国の高校球児や関係者が、高校野球の未来を見つめ、プレーする人・支える人の裾野を広げるために動き始めています。

「野球っておもしろい!」という種を地域にまく、そんな温かな実践の様子が紹介され、聴講した生徒たちも発表者の語りに和んでいました。

 

さて、その同じ構想の中には、〈育成(審判)〉という柱があるのをご存じでしょうか。

日本高野連は、 審判員の人材発掘と若手育成 を加速させるため、体験会や講習会を各地で支援しています。審判はプレーの質と安全を守る、いわば“もう一つのチーム”。選手の未来を支える欠かせない存在です。

 

勝利を見届け、次のフィールドへ ―高校生審判 サングラス越しのまなざし

7月12日、第107回全国高校野球選手権長崎大会・初戦。本校は8-0(コールド勝ち)で快勝しました。

スタンド席から仲間の戦いを見届けた3年生の北木くんは、その直後、高校生審判員 としてフィールドに立ちました。

 

けがを経て「野球に関わり続けたい」と選手から審判へ転向。高校生として県内初登録を果たし、公式戦でジャッジを任されるまでに成長しました。

多くの練習試合、会長杯などの公式戦で審判を務めて夏に向けての経験を積んできたという北木くん。「プレーを妨げず、選手がのびのび力を出せるように」とフィールド内で走り続けます。

 

立ち位置や動線を日々研究する北木くんに試合前日の様子を尋ねると、「前日からアドレナリンがあふれ、朝5時半に目が覚めるんです。頭の中でいくつものプレーをシミュレーションして臨んでも、グラウンドは想定外の連続です。だからこそ、研究して臨みます!冷静に判定を下すことが大切なので」と真剣なまなざしで話します。

 

炎天下のグラウンドの審判を務めることで「眩しくて大変では?」と質問すると、 「今年から、サングラスの着用が認められるようになったんです。暑さや陽射しの中でも、しっかりプレーを見られるようにって」とにっこりと答えてくれました。

 実際、この夏の大会では審判員がサングラスをかけてジャッジにあたる姿が見られるようになりました。環境の変化にも柔軟に対応しながら、審判としての役割を果たしています。

 

 「審判だからこそ見える景色がある。誰かの成長を支える存在でありたい」

 勝利を見届けたスタンドから、今度はジャッジの場へ。

そのサングラス越しのまなざしは、確かに野球という競技の“裏側”を支えていました。

次の試合は19日(土曜)です。

本校の試合とともに、審判として立つ北木くんの勇姿にもぜひご注目ください。

 

※写真は県内初の高校生審判を務める生徒の様子