立春、見守る朝


長崎の朝は、まだ冬の名残を抱えていました。

今朝の気温は4℃。



きりりとした空気の中、港に近い一角では、約10年にわたる保存修理工事を終えた国指定重要文化財「旧長崎英国領事館」が、静かにその扉を開こうとしています。(※写真は開館前・裏通りの様子:1月30日に開館しています。)

その建物の前では、ランタンが風に揺れ、赤や金の光がまだ眠たそうに瞬いていました。



少し先の湊公園では、これから始まる祭りを待つランタンたちが、寒さに身を寄せ合うように並び、まるで小さな動物たちが肩を寄せているかのようです。



賑わいの前の、束の間の静けさ。その風景は、生徒たちが毎朝通う道の途中にあります。長崎の冬と春の境目にある、やさしい時間でした。

 

 

 

「花冷え?」

そんな言葉が浮かぶ朝ですが、暦の上では今日2月4日(水曜)は立春。

新たなスタートの日、春の訪れとともに、気持ちをそっとリセットする節目です。

スマートフォンに流れ込んでくるニュースも、どこか背中を押すようで、「もうひと踏ん張りだね」と語りかけてくるようでした。

 

さて、先日は高校一般入試の日でした。

中学3年生が登校する朝、学校まで付き添ってくださった保護者の方が、正門前で立ち止まり、校舎へ入っていく背中を静かに見守っておられました。

誘導でいた近くの教員に、「よろしくお願いします」と保護者の方が。ほっとした表情を残して帰られる姿から、これまでの時間の重みが伝わってきます。

 

 

 

同じ頃、本校では大学入試を控えた生徒たちが登校してきました。校門整理をしていた教員が声をかけます。

「どうだ、調子は?」

「準備はできたか?」

生徒は自分の状況を言葉にし、先生がうなずきながら耳を傾ける。

特別なことではありませんが、気になったら声をかける、そして見守る…そんな日常が、今日も静かに続いています。

 

 

入試では、小論文や面接が課されるケースも多く、本校でも個別指導が始まっています。

大学から出された課題は、何を問おうとしているのか。自分は何を経験し、何を考えてきたのか。

先生と生徒の間で「対話」が生まれ、悩みながら、少しずつ、話したいこと・書きたいことが整理されていきます。

 

この「深まっていく時間」こそ、学校生活の中で最も豊かなひとときなのかもしれません。

そしてその時間は、一日の流れの中で、さまざまな形の「見守り」に包まれています。

 

 

マリア像の後ろに、冬の星座・オリオンが静かに浮かんでいます。


完全下校となった19時過ぎ。
校舎から人の気配が消えたあとも、学校は次の一日を待つように、夜空を仰いでいます。

 

 

一夜明け、朝。
校舎には、やわらかな冬の陽射しが降り注ぎます。登校してくる生徒を迎え入れるように、静かな光が、今日という一日の始まりを照らします。

 

 

進路指導室の前には、張りつめた静けさがあります。

 

職員室へ、課題を提出しに来る生徒の足音。
声をかけることもあれば、
あえて何も言わず、背中を見送ることもある。
日常の中にある、さりげない「見守り」のひとコマです。

 

 

特別編成授業の合間には、ほっとした笑い声がこぼれます。
緊張が少しほどける時間もまた、次へ進むための大切な準備のひとつです。

 

 

 

まだ寒さは残っています。
けれど、立春の名のとおり、
校舎のあちこちで、小さな「春の兆し」が確かに芽吹いています。

それぞれの挑戦に向かう背中を、今日も学校は、静かに見守っています。

 

※写真は校舎内外の様子、通学路途中の風景。