日常から始める平和への道


今朝の気温は27℃。朝夕は日中の蒸し暑さに比べるといくぶん残暑も和らいだように感じます。

本日28日から七十二候「天地始粛(てんちはじめてさむし)」が始まります。「粛」にはおさまる、弱まる等の意味があり、夏の暑さもようやく落ち着いてくる頃とされています。歳時記の言葉はもちろんのこと、耳を澄ませば虫の声…秋への移ろいを音でも感じさせてくれます。

ただ、台風10号の影響で、しかも今回は自転車並みの鈍足で北上するということですので、風雨状況をみながら備えも必要です。

 

お知らせ

「KTNテレビながさき(8チャンネル)」にて、8月29日(木曜)深夜0時30分から『長崎で推しを見つけてみた件〝PUSH MAN〟(第22回)』が放送されます。長崎に眠る原石を、伝説のスカウトマンが探しに行く”新人開発バラエティ”「PUSH MAN」企画、海星の原石探し(後半戦)に海星高校生徒が出演します。どうぞ、ご覧ください。

 

 

目標を持てること、今の生活そのものが「平和な時間」です

 

 

冒頭のメッセージは、今年の夏、2つのイベントに参加した放送部の生徒のコメントです。

 

令和6年8月9日、79年前のあの夏の日を忘れないよう、長崎市は被爆79周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典を開催しました。

長崎新聞(6月掲載)では、高齢化や参加者減など課題はあるものの、反戦反核・世界平和を訴える座り込み「反核9の日座り込み」が通算500回を超えたという記事が目に入ってきました。また8月9日「想像力を抑止力に」をテーマに制作された新聞広告『平和企画』の中にも、平和への願いをつづることへの強いメッセージが見られます。

平和活動に参加する高校生の話題もメディアで取り上げられることがある中、本校放送部も、声・映像を通して様々な表現の場に参加させていただきました。

自分に何ができるのか、それを行動に移すことができるのか…ご紹介します。

 

 

第6回ナガサキ映画と朗読プロジェクト『平和への誓い』:7月20日(土曜)長崎原爆資料館

遡ること先月20日(土曜)に長崎原爆資料館で行われた朗読プロジェクトに、長崎市内の12校の放送部が参加し、各校から代表生徒がステージに立ちました。2010年から始まった前進のイベント「長崎国際平和映画フォーラム」の9回を加えると、通算15回目のイベントとなります。この試みは、映画と朗読により、核兵器廃絶、非戦平和、被爆体験の継承の深化を実現させ、長崎から世界に発信することが目的です。

 

成長と進化を遂げてきた、高校生による「朗読」。昨年につづき今年も、8月9日の平和式典において被爆者の方々が読まれてきた『平和への誓い』を音読発表しました。

本校放送部からは2年生副部長、潟くんが参加しました。

今年は、線状降水帯の雨もあり、12校揃っての練習会ははたったの1回しか行われず、当日開催の2時間前に、読み合わせをして、本番に臨みました。

長年、長崎で教鞭を執られ高校放送部のご指導に関わってこられた天野絋先生からも最後のアドバイスを受けます。

 

 

「目の前にいる〝あなた〟に敬意を払うアナウンスを心がけて」。読み上げのタイミングを計る練習を重ねながら、伝え方について顧問の先生から、また、他校の顧問の先生にも読みを聴いてもらい、アドバイスを受けました。

敬意を払うアナウンス-これを可能にするためには、普段から日々の生活の中で、自分が接する人たちと、お互いを尊重する関係を築くことが大事です。その関係の中で、場にふさわしい話し方や振る舞いや、表情がおのずと分かるからです。

 

 

2024年世界大会-ナガサキデー集会:8月9日(金曜)長崎市民会館

原爆投下時刻の午前11時2分、黙禱後、「核兵器の禁止、核兵器のない世界の実現を目指して」海外代表の発言の機会が設けられました。

 

そのあと、特別企画「被爆者の声を世界に」の中で、反核・平和運動家の山口仙二氏の演説を読み上げました。

今年の夏の挑戦を振り返り、放送部部長の潟くんは、

「自分が朗読を通して関わったこの時間そのものが、〝平和〟だと思います。また、学校生活を普通に過ごすことができて、目標をもつことができて、友達と笑顔で過ごすことができる時間は、なおさらです。」と話します。アナウンス部門での出場経験しかなかった潟くんにとって、朗読を通して被爆者の方々のメッセージを声にすることの難しさを痛感したそうです。

「最初は、読み間違えがないように声をしっかり出すことに集中していましたが、練習をしていくうちに、何とも言い表せない心の叫びのような、深い悲しみと、強い祈りを伝えることが重要だと、演説スピーチから読み取りました。山口氏の『…全世界の人々と特に戦争の惨禍を経験していない世代に広く普及して頂くこと、(中略)また、8月6日と9日を「核兵器禁止の行動の日」として設定し、具体的行動の一つとして、すべての国で、街で、鐘やサイレンを1分間打ち鳴らすことを提案します』という部分を特に強調して朗読しました。イベントが終わった後も、この貴重な経験を通して、平和に関わるニュースに目を通したり、考えたりする時間が次第に増えました。」

 

被爆者の体験と反核平和を伝えてゆく礎となる、朗読活動を放送部の活動としてこれからも続けていきます。

そして、形だけの活動にならないためにも、想像力をもって日常を過ごしていきたい、と日々考えている放送部。

 

-「世界中の戦争を終わらせるために何かをする」というのは、美辞麗句です。やはり個人にはできないでしょう。個人ができるのは、自分の心の平和を保つこと。生きる態度や行動も含めてね。それだけです。」-(谷川俊太郎氏のインタビュー記事一部抜粋)

へいわがあたりまえであることの大切さ。

このことを忘れてはいけない、と実感した夏となりました。

 

※写真は平和活動に参加した放送部生徒の様子。