言語化する


 

先週末の連休では、九州一帯に線状降水帯発生に関するニュース、突然の激しい雷雨に見舞われ、一部部活動も中止になるど雨が降る朝となりました。今朝の気温は24℃ですが、日中の気温が30℃前後まで上昇する蒸し暑い日が続きそうです。セミの大合唱も始まり、梅雨明けも間近です。

 

昭和の法曹界が舞台の物語、朝ドラ『虎に翼』。日本初の女性弁護士で、のちに裁判官となった三淵嘉子さんをモデルにした半生を再構成してフィクションとして描かれています。〝虎に翼〟は中国の法家「韓非子」の言葉で「強いものの上にさらに強さが加わる」という意味として番組のコンセプトともなっています。

個人的に気になったフレーズ、主人公の口癖でもある、疑問にぶつかったときに出る「はて?」。何も言わないのは「スンッ」としているなど、弱者を救っていくリーガルエンターテイメントとして活躍していく主人公の生きざまに注目したいドラマの一つです。

本日の話題は、ちょうど一か月後に長崎県予選会を控え「令和6年度高校生模擬裁判選手権」に参加する3年生の取り組みを紹介します。

 

物事の捉え方や自分の理解を表現する方法を学ぶために

この大会は、1つの刑事事件を題材にして、高校生自身が「検察官」「弁護人」になって、争点を見つけ出して主張と証拠を整理し、証人尋問・被告人質問・論告弁論を準備した上で、本番では実際の訴訟活動を行うという「実演型模擬裁判」の選手権です(※日本弁護士連合会ホームページより引用)

 

 

昨年初めて参加に踏み切った森孝之先生(数学科)が今年も参加を募りました。

「起訴状を読んで、スライドを作り自分の考えを発表するという活動です。弁護士や検察官など司法の仕事をしている方たちと話ができ、実際に裁判所の中で発表をするという体験ができます。司法の仕事に興味がある生徒は是非参加して欲しいイベントです。」

集まった生徒にとっては、架空の裁判に関する〝供述調書〟を読み込むなど、すべてが初めての経験。

前回の経験を踏まえて森先生は、膨大な供述調書を図式化して大会までの流れをアドバイスしていきます。

 

そしてこの度、模擬裁判に出場する生徒たちのスーパーバイザーとして、日本司法センター法テラスから岩本先生、横山先生をお迎えし講義を行っていただきました。ご多用の中、貴重な時間をありがとうございました。

岩本先生が供述調書を読みながら、「このページで違和感はない?何か不利なことをを言っていませんか?」と生徒にヒントを出しながらブレストを20分間行いました。検察側と弁護側とそれぞれの視点で付箋に書き出しては、状況を整理していきます。

最初は、意見を出すことも躊躇された時間がありましたが、現役の弁護士先生の穏やかな語り口に、生徒も少しずつ具体的な意見を出せるようになってきました。

「今度は、張り出された付箋をグループ分けして、タイトルをつけていきましょう」と岩本先生。

全体雑感として、横山先生が補足説明を行い次回までに準備する課題を伝えられました。

講義が終わったあと参加を決めた動機を尋ねてみました。

「司法の仕事に興味がなくても、自分が考えていることを相手に伝えるという活動は、総合型入試や学校推薦型入試における面接・小論文の対策に最適な教材だと考えたからです。」と一人の生徒。

「昨年出場した先輩方の話を聞いて、『説得力のある議論』を経験してみたいと思いました。口下手なので…、人前で発表すると考えただけでも緊張してしまいますが、そういう点でも克服したいと考えて参加しました。」ともう一人の生徒が話してくれました。

 

講義の最後に、岩本先生が「立場が変われば見え方が変わります。とにかく『言語化』していく作業をひたすら行ってください」と励ましの言葉をかけられました。

 

長崎予選会は8月17日(土曜)。

法教育の一層の充実が不可欠な時代、罪と罰、自由と責任が問われる法律問題に「ただ一つの正解」はありません。

参加する生徒が模擬裁判という体験的な学びを通じて、複雑な問題を考え抜く思考力、相互理解や共生についての理解など、社会生活を営む上で必要な能力を育むことができれることを願っています。

 

※写真は模擬裁判に参加する勉強会の様子